デュポン

日本では、フライパンなどの調理器具の表面塗装に用いられる「テフロン」の開発で知られるデュポンはアメリカの企業で、1802年に設立されました。現在は主に化学製品の製造・販売を行っています。農業分野では、農家の直面する問題に対処するため、種子から農薬までを提供し、収穫高の増大とより栄養価の高い食糧の生産を目指しています。

デュポンの農業へのアプローチは、グローバルチャレンジ・サイエンス・サステナビリティの3本の柱が基本となっています。グローバルチャレンジとは、農業の目的を個々の農家の生産性向上ではなく、地球上の人類全体が直面している問題として捉えるということで、全ての人に栄養価の高い食糧を供給できるように、これまでに培ってきた技術と知識を用いて取り組んでいます。

サイエンス:デュポンは創業以来、火薬や自動車の製造などを経て化学の分野に力を入れるようになり、合成ゴムやナイロン、テフロンなど現在も広く用いられている製品の研究・開発を行ってきました。他企業との合併と買収を通じて事業の再編を行い、最近はその技術を農業科学やバイオサイエンスなどの分野に応用しています。

サステナビリティ:地球上の全ての人への食糧の供給は急務ではありますが、そのためにエネルギーを使いつくしたり、自然環境を破壊したりしていては豊かな状態を維持することができません。デュポンは学会や政府などと協力して、再生可能エネルギーの研究や環境の保護のための技術革新に力を注いでいます。

日本モンサント

モンサント・カンパニーは農業や農薬に関する事業を行っているアメリカの企業で、日本モンサントは1957年に設立されました。日本モンサントで重視しているのは「持続可能な農業」への取り組みです。今後予想される世界人口の爆発的な増加を見据え、農業の生産性を向上させること、それと同時に土壌や水資源などを保持すること、そして農業に従事する人たちの生活の改善を目指しています。

生産性の向上については、日本モンサントは植物の種子の改良に力を入れています。バイオテクノロジーを用いて、病気に強く、厳しい条件の下でも多くの丈夫な植物を生み出せる種子を作っているのです。また、単に収穫量を増やすだけではなく、より栄養価の高い食糧の生産も重要な目標としていて、安定した品質と収穫量が望める野菜の品種を交配技術によって開発しています。

食糧の生産には、水や土などの自然資源が必要となります。日本モンサントでは少ない資源で効率的に食糧の生産ができるよう、また肥料や殺虫剤などを効果的に使えるような植物の種子を作るべく研究を重ねています。農地によって異なる土壌の性質に応じた種子の選択や肥料の使い方などの情報を、農業従事者に対して提供するシステムの構築も目指しています。

農業は人間の生産活動の根幹であり続けていますが、現代においても重労働であり、従事する人に大きな負担をかけていたのも事実です。今後の食糧需要の増大に向けては、単に収量を増やすだけではなく、農業従事者の生活の質を向上させることも、日本モンサントでは非常に重要な課題として掲げています。

農業ソリューション企業とは

日本において、農業は長い間基幹産業としての地位を保持してきました。第2次大戦後、第2次・第3次産業の急速な発展により、日本の産業全体における割合は小さくなっているものの、生命維持の基本である食糧生産の重要性は何ら変わることはありません。

日本の企業はそれぞれが独自に開発した技術を持っています。これらの技術はさまざまな分野で活用されてきましたが、農業に関してはその活用があまりなされてきませんでした。農業においては、それぞれの農家が経験に基づくさまざまな知識を持っていますが、それらの経験や知識を個々の農家が管理するだけではなく、デジタル技術を利用してデータを共有することで、より効率的に生産が行えるようになります。

農業において、こういったデータの蓄積と提供を行う企業は農業ソリューション企業と呼ばれています。企業の持つ情報を農家が活用することで、少ない負担でより多く農作物の生産ができるようになっています。また、例えば前年の作付けや収穫、出荷の状況を記録することで、翌年の作業の参考になり、見通しが立てやすくなるのです。

これら農業ソリューション企業が目指すのは短期的な収穫量の増大だけではありません。今後予想される世界の人口増加に際して急増すると考えられる食糧需要に応えていくなど、地球規模で農業や食糧生産を考えていくうえで重要な情報を収集し、提供しているのです。ここでは農業ソリューション企業の例として、日本モンサントとデュポンの取り組みについて紹介します。